優しい想いと小さな手


私は甥っ子が好きだ。昔の私の写真を見てもそっくり、性格まで少し似ていると思う。
甥っ子は、車で15分程の所で暮らしているので、実家に居座る私はチョコチョコ様子を見に行く事もある。

つい半年程前の事である、甥っ子が1歳半を過ぎもう直ぐ2歳に成る頃の事。
その時期の私は自身の体調が悪く、風邪をこじらせていた。
そんな中、姉の気まぐれで甥っ子と2人で泊まりに来る事に。
当然、甥っ子に風邪を移す訳にはいかないと自身で理解していたが、それ以上に過敏な父と母。
まるで私はバイキン扱い、隔離する勢いである。
それに比べ、心配をよそに気にしない我が姉。
「大丈夫大丈夫、どうせ移れへんよ。」と、何ともまぁ気楽な者である。

普段は、家に甥っ子が来たら抱きつく勢いの私だが、この日は流石に甥っ子が来ても部屋から出なかった。
それを気にしていたのだろう、「おじちゃんは・・・おじちゃんは・・・」何度も聴こえて来る。
姿が見たいが私は我慢していた。
静かになり、遊んで居るのだろうと思っていたら、部屋の戸をトントン叩いて来る。
父と母は、「おじちゃんは、寝んねしてるからね。」と、連れていく。

時間も経ち、外も暗く、夜の7時半を過ぎる頃、「もう少しで出来るから待っててね。」母の声がする。
 「じゃぁ、そろそろ食べよっか。」と聞こえた次の瞬間、部屋中に色んな声が飛び交った。
「アラアラ」「ちょっと、ちょっと」「オイオイオイオイ」
「何処行くのよ」明らかに何かが起きた。

ガチャガチャと扉を開ける何とも強引な音がする。
「おじちゃん、ふん」暗闇の中で寝ていた私に何かを押しつっけて来た。
「おじちゃん体調悪いからねてたよ、なぁにぃ」と言い、甥っ子の手を見ると、今晩のおかず、アジフライを、とても小さな手に握りしめていた。
甥っ子がアジフライを渡し、去って往った。
甥っ子なりに心配し、気に掛けてくれて居た事がとても私は嬉しかった。